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AIに渡していい情報、渡してはいけない情報。1人会社の自分が決めている線引き

AIに渡していい情報、渡してはいけない情報。1人会社の自分が決めている線引き

この記事でわかるのは、3つです。
AIに何を渡していいかの分け方、主なAIの「学習に使うか」の設定、そして自分が1回ヒヤッとした話。
読み終わるころには、自社の線引きを紙に書き出せるようにまとめました。

「AIを使ってみたいけど、会社の情報を入れて大丈夫なの?」

AIを使い始めるとき、最初に引っかかるのがここだと思います。

よく見かけるのは、2つの極端です。
1つは「入れたら全部学習されて、よそに漏れる」と考えて、まったく使わない。
もう1つは「便利だから」と、何でも貼り付けてしまう。

ただ、実際はどちらでもありません。

  • AIの学習に使われるかどうかは、プランと設定で変わります
  • そして気をつけるのは、学習だけではありません

今回は、この2つを順番に書きます。

まず、「学習に使うか」はプランと設定で決まる

2026年10月時点で、主なAIの扱いはこうなっています。

  • ChatGPT:個人向けは、設定の「データコントロール」にある「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、会話が学習に使われなくなります。法人向け(Business・Enterprise)は、もともと学習に使わない扱いと案内されています
  • Claude:個人向け(Free・Pro・Max)は、2025年8月末から、学習に使うかどうかを利用者が選ぶ形になりました。プライバシー設定でいつでも変えられます。法人向け(Team・Enterprise)やAPIは、もともと学習に使わない扱いです
  • Gemini:Gmail・ドキュメントの中のGemini(仕事用のWorkspaceや、有料のGoogle AIプラン)は、内容を学習に使わないと案内されています。個人のGeminiアプリは、「アクティビティの保存」がオンだと学習に使われることがあります。オフにすると、新しい会話は学習に使われません
主なAIの「学習に使うか」早見表

細かい条件は変わります。使う前に、各社の公式ページで今の扱いを確かめてください。

ではなぜ、「学習に使わない設定にしたから大丈夫」とは言えないのか?

学習に使われなくても、入力した内容は、相手の会社のサーバーに送られているからです。
それに、AIが出した答えを見るのは人です。画面に出たものは、そばにいる人にも見えます。

設定は、入口の鍵の1つでしかありません。
なので自分は、「何を渡すか」を先に決めています。

自分の会社で決めている、3つの線引き

AIに渡す情報の3つの線引き

1. そのまま渡してよいもの
もう外に出している情報です。ホームページ、チラシ、公開した記事。
それと、自分で書いた文章の下書きや、書類のひな形です。

2. 必要な分だけ渡すもの
お客様の名前、取引の中身、社内の数字です。
たとえば請求書を作るなら、宛先と金額は要ります。
でも、関係ない取引の中身や、ほかのお客様の情報まで一緒には渡しません。
記事や発信に使うときは、お客様の名前は伏せます。

3. 渡さないもの
パスワード、システムの鍵、口座のログイン情報、マイナンバーなどです。

自分の会社では、仕事のトークに送ると、AIも使って仕事を片付けてくれるBotを動かしています。
そのAIに渡している手順書の、最初の見出しにこう書いています。

画面イメージ AIに渡している手順書の「守ること」

ここで1つ、気をつけたところがあります。

請求書には、振込先の口座を載せる必要があります。
ただ、それをAIに書かせてはいません。
口座は、決まったプログラムが設定ファイルから差し込むだけです。
AIには、そのファイルを開かないように決めています。

AIの仕事に必要な情報と、書類に必要な情報は、同じではない。
ここを分けておくと、AIに見せる範囲をぐっと狭くできます。

ヒヤッとした話:Botの鍵が、AIとの作業画面に出てしまった

正直に書くと、自分も1回やってしまっています。

Botを作っていたときのことです。
設定ファイルには、Botの鍵(外から勝手に使われないための、秘密の文字列)が入っていました。

AIと一緒にファイルを直していたら、ファイルの変更点を自動で見せる表示に、鍵の文字がそのまま出てしまいました。
自分がAIに「鍵を見て」と頼んだわけではありません。作業の流れで、表に出てしまったんです。
ネットに公開されたり、誰かに使われたりしたわけではありません。ただ、AIとの会話には残ってしまいました。
それでも、一度出た鍵は安心して使えません。AIからも、鍵を作り直す(再発行する)ことをすすめられました。

そのあと、変えたのはこの2つです。

  1. 鍵の入ったファイルは「開かない・表示しない」と、手順書に書いた
  2. 鍵がちゃんと入っているかを確かめるときは、中身を出さずに「入っているか・何文字か」だけを見る

ここで思ったのは、気をつけるのは「AIに貼るかどうか」だけではないということです。
AIにファイルを読ませたり、作業をさせたりするなら、「AIが見られる場所に、何を置いているか」も同じくらい大事でした。

もし、全部禁止か、何でも渡すかだったら

全部を禁止にしていたら、自分の会社のBotは作れていませんでした。
請求書もタスクも、今も手で片付けていたと思います。

逆に、何でも渡していたら、どうなっていたか。
一度出てしまった情報は、あとから取り消せないことがあります。
たとえばClaudeの案内でも、学習を許す設定で使っていた場合、あとでオフにしても、すでに始まった学習からは外せないとされています。

使わないのでも、何でも渡すのでもない。
「ここまでは渡す」を先に決めて、その中で使う。
これが、1人の会社で毎日AIを使っている自分のやり方です。

明日からやるなら

自社で、この4つを紙に書き出してみてください。

  1. 社員が今、どのAIに、何を貼っているかを知っているか
  2. 使っているAIのプランと、「学習に使う」設定はどうなっているか
  3. 「渡さない情報」を3つ挙げられるか
  4. うっかり渡してしまったとき、誰に言って、何を変えるか
明日からやるなら

1は、知らないなら聞くところからです。禁止より先に、今の使い方を知る方が早いです。
2は、設定画面を見ればすぐ確かめられます。
3は、パスワードと鍵、口座、個人の番号から書くと決めやすいです。
4を決めておくと、やってしまったときに慌てずに済みます。自分のときは、鍵の作り直しでした。

AIに任せる範囲より先に、AIに見せる範囲を決める。
自分の会社では、この順番で使っています。